2022.07.08

アーティストGravityfreeインタビュー。ユニット結成のきっかけや、Gravityfreeの絵に込めたこだわりとは?

ARTIST INTERVIEW

Gravityfreeとは

Gravityfree(グラビティフリー)とは、djow(デジョー)と8g(エイジ)の2人から成る絵画作家。 2002年より活動してきた彼らは、クラブシーンにて絵を描く遊びから始まり、FUJI ROCK FESTIVALを中心とする野外フェスなどにも活動の場を拡げ現在に至る。 日本のウォールアート界を牽引してきたベテランのペインターだ。 2022年には結成20周年を迎えるGravityfree。その即興性の高いダイナミックなライブペインティングスタイルと、相反するような丁寧で暖かみのある画面構成は、クライアントだけではなく多くの同業のアーティストの支持も集めている。 今回はアーティストの今までとこれからを掘り下げるインタビュー企画の第一弾として、Gravityfreeのお二人に話を伺った。

二人の出会い

鈴木(ディレクター)

本日はよろしくお願いします!色々とお二人を掘り下げていきたいと思います。 まずは何処でお二人は出会われたのですか?

8g(エイジ)

djowと僕が知り合ったのは、商業デザインやグラフィックデザインを学ぶ専門学校で、寮も同じだったんです。

鈴木(ディレクター)

専門学生時代の面白いエピソードなどあったりされますか?(笑)

8g(エイジ)

話せる内容あるかな?(笑)寮がすごい厳しくて!代々、寮を抜け出すルートがあって夜な夜な中野へラーメンを食べに行ったりしたよね。(笑)

同じ専門学校で出会った仲間だった

鈴木(ディレクター)

とても楽しそうな寮生活だったんですね!そうしてお二人が出会ったわけですが、そこからすぐにアーティストを目指して活動を始めたんですか?

djow(デジョー)

アーティストになったきっかけは沢山ありますが、ライブペインティングが僕らのアーティスト活動の始まりでした。 友達がイベントをオーガナイズしていて、フライヤーを僕ら二人で作っていたら「イベントでデカイ絵を描いてみようよ!」と声をかけてくれたんです。そうしたら8g(エイジ)も「じゃあ俺もやりたい」って言ってくれて。 そこから、「イベントで絵を描いてるやつがいる!面白い!」ってイベントでのライブペイントが話題になって、何回か続いていったんですよね。そこからライブハウスでもやるようになったり呼ばれるようになって。絵に関わる仕事を急に始めたわけではないんですが、漠然と多分8g(エイジ)も俺もその絵に関わる仕事でやっていけたらいいなってのはありました。 当時は、今みたいにその道筋がはっきり見えない世の中だったからね。 SNSもないし、インターネットも始まったばかりだったから発信も出来なかった。 それでも手探りの中なんとか絵に関わることをやっていきたいと思い、だんだん今のスタイルになったんだよね。

クルー名の由来はくみちゃん

鈴木(ディレクター)

イベントで声がかかる様になっていきますが、クルー名はいつ生まれたんですか?

djow(デジョー)

僕と8g(エイジ)、くみちゃんの3人でライブペイントする事になり、せっかくだしクルー名をつけようって盛り上がったの。出演するイベントのFree Tribeから「Free」と、ある楽曲のGravityを組み合わせてGravityfreeという名前をくみちゃんが考えてくれたんです。

周りの認知がGravityfreeの活動を加速させた

鈴木(ディレクター)

くみちゃんと素敵なクルー名が決定しましたね!いつ頃からGravityfreeとしてやっていこうと思われましたか? やはり、クラブやイベントでの活動が大きかったですか?

djow(デジョー)

Gravityfreeという名前を作った事が大きかったと思います。周りの人がGravityfreeと認知してくれ、その名前でイベント出演を受けるようになるとイコールもうクルーなんですよね。

8g(エイジ)

僕は仕事で始めるつもりはなくて、クラブやイベントでの活動は遊びのようなイメージだった。そのうち、ありがたい事にGravityfreeとしての依頼が増えて比重がアーティスト活動へシフトしていきましたね。

djow(デジョー)

明確にアーティストとしてやっていこうと思えたのは、ここ15年くらいですかね。

二人で心の琴線に触れた体験

鈴木(ディレクター)

お二人のアートはアニミズムな自然、人、精霊のようなものが凝縮した雰囲気がとても魅力的ですよね。こういった画風はどのように出来上がっていったのでしょうか。アーティスト活動で影響を受けた体験などありましたか?

8g(エイジ)

Gravityfreeの根本のテーマにあるのは佐渡ヶ島での体験だなと今でも思います。 20代の時、鼓童という太鼓集団の演奏をdjowと佐渡ヶ島へ観に行って、お祭りの太鼓演奏の途中から凄い雨が降ってきてしまって・・・。 でも雨の中、感極まりながら年齢や人種を越え人々が踊り、魂が揺さぶられるような体験をした時、自分の中で何かが変わりましたね。 その時の事は大きな精神的衝撃だったし、そこから言葉では表せない精神的な部分を描きたい!って思うようになりました。

寄り添うように込めたGravityfreeの思い

鈴木(ディレクター)

佐渡ヶ島での感動や共鳴のような体験をうかがいましたが、Gravityfreeの絵に込めた こだわりを教えてください。

djow(デジョー)

こだわりとしては、シンプルだけど常に独自でありたい。 これはGravityfreeだ!って誇示するのではなく自分達らしい何かを生み出せたら良いなと考えてます。極端に流行へ寄せるわけでもなく、その時に合わせた作品を表現したいですね。

8g(エイジ)

周りに強要してるわけじゃないけど、Gravityfree的な道徳心みたいなものがあってこういう発想だと平和な気持ちになれないかな?って思うんだよね。

djow(デジョー)

例として、前回のKITTEも自分たちなりの道徳心が入っているかもしれないね。1つだけ花を描き、肌の色が違う民族同士が出会う瞬間を表現しました。

8g(エイジ)

どれくらい伝わっているかは分からないけど作品の意味を答えられるようにしてあるよね。説明出来るようには収めています。あんまり説明的になりすぎても面白くなくなっちゃうから、間をとってる感じかな。

心に留めて忘れずにいる出来事

鈴木(ディレクター)

下積み時代を経て沢山のイベントに出演し活動範囲は更に広がっていきますが、記憶に残るエピソードがあれば教えて頂けますか?

8g(エイジ)

1つは東日本大震災後、石巻で泥出しのボランティアをさせていただいた時です。 ガレキまみれの神社があって参道からガレキを撤去したら、そこの宮司さんがお祭りやる!!って言い出して。

djow(デジョー)

まだ5月だよ!大変な状態ですよ。

8g(エイジ)

流れてきたベニヤ板を使って、お祭りでライブペイントをしたんだよね。

djow(デジョー)

辺りはもう全部グレー。色のない世界だった。

8g(エイジ)

泥とグレーしかない世界で、絵具の色がすごい鮮やかに映えてました。 七福神が餅つきしているような絵を描き、宮司さんも凄く気に入ってくれたんです。

djow(デジョー)

お祭りをやる意味は、宮司さんの安否確認だったの。 あの時、近所の人がどれくらい生きてるか分からない状態だったし。 多分、地元の氏子達だけはお祭りがあると分かったら絶対来ると信じて、チラシも作って色々な避難所に配りに行ったよね。

8g(エイジ)

もう1つは新潟の津南町太田新田で行われた大地の芸術祭の作品ですね。

djow(デジョー)

芸術祭は3年に1回の開催で、新しいプロジェクトを考えながらトータル8年かけて製作しました。

鈴木(ディレクター)

何故、8年もの年月が?

djow(デジョー)

他から来た自分たちを理解してもらうのに時間も、かかったんですよね。 400年の歴史がある、50人ほどの集落なんですよ。芸術祭を開催するにあたり集落の方からの理解を頂くコミュニケーションから始まりました。

鈴木(ディレクター)

地域の人の反応はどうでした?

djow(デジョー)

集落の人達が少しづつ、受け入れてくれる変化があってすごく勉強になりました。

8g(エイジ)

地域興しや過疎化問題から始まっている芸術祭だから、集落の人達が自分たちでなにかしら発信できるところまで継続して関わっていきたかったんですが、そこまで踏込むのはとても難しい課題でしたね。

djow(デジョー)

今でも集落の方とは交流があり、湧水から1番近いこの集落で作られたお米直売用に米袋のデザインを描いて、Gravityfreeの絵画展でこの苗場山麓湧水米の受注もしました。

鈴木(ディレクター)

ブレンド無しの湧水米なんですね!

Gravityfreeの忘れ物!

鈴木(ディレクター)

ここで少し趣向を変えて常に完璧な製作をされてますが、やっちゃったー! このような失敗談はありますか?

8g(エイジ)

多分二人とも同じ事を思いついてるはずなんですか。 ライブペインティングで台湾へ行ったんですが、筆を忘れてしまって・・・。

鈴木(ディレクター)

一番の商売道具じゃないですか!

djow(デジョー)

もう、台湾の工事現場で使うような筆を買い集めてさー。 あと、アメリカの空港で8g(エイジ)を置き去りにした事もあったね・・・。

8g(エイジ)

でも、絵での失敗はあんまりないですよ(笑)

表現と場所は無限!

鈴木(ディレクター)

最後になりますが今後どのような作品作りや、活動をされたいか聞かせてください。

djow(デジョー)

飛行機に描いてみたいですね!ビルとか、とにかく大きな物に描いてみたい。 あと、展示ですね。Gravityfreeはコロナがキッカケで、今までやりたいけどやれていなかった初展示を開催して、僕たち自身面白い!と感じる事が出来たんです。

djow(デジョー)

僕たちはそれまで、絵描きとして本来やるべき展示をやってこなかったから。 今後は与えられたテーマでは無く、自分達で伝えたいテーマを壁画でも表現したいですね。 完全に自分たち発信のファインアートにしたいっていう願望はありますね。

8g(エイジ)

僕らの活動の仕方って自分の環境とは違うところへ行く事から刺激を受けるので、まだ行ったことのないヨーロッパで活動してみたいですね!

djow(デジョー)

NOMAL ART COMPANYさん!案件!宜しくお願いします!

鈴木(ディレクター)

頑張ります!

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